還暦おやじの洋楽日記

還暦のおやじ二人が綴る70年代ロックを中心とした身辺雑記。

Live In Rotterdam, Holland '79 / Camel


僕が本格的にキャメルを聴き始めたのは少し遅くて、初めて買ったアルバムは「Breathless」だった。そのときの第一印象はあまりピンとこなかったけど、その頃のキャメルはちょうど大幅なメンバーチェンジがあった時期で、次に買った「I Can See Your House From Here」にはとても惹かれた。正統なキャメルファンから見れば、こういう嗜好は邪道だろうね。でもプログレが衰退していた時期に生き残りを賭けて、抒情性とポップ性の両立を目指したサウンドはなかなかに魅力的であった。この路線は残念ながらこの一作で終わってしまったが、”キラキラしてキャッチーなキャメル”はもっと評価されてほしかったな。
ほどなくして彼等は二度目の来日を果たしたのだが、その「I Can See Your House From Here」のメンバーでの公演だったので、まだ彼等の代表曲も充分に知らなかったくせにのこのこと行ってみたのだった。時は1980年1月、場所は中野サンプラザだったと思う。

そんなキラキラ時代のキャメルのライブアルバムがつい最近、輸入盤国内仕様でリリースされた。1979年11月にロッテルダムで行なわれたコンサートライブとのことで、あの来日公演の記憶をトレースするべく購入してみました。

Disc 1
1. Intro Medley
2. Echoes
3. Unevensong
4. Song Within A Song
5. Hymn To Her
6. Neon Magic
7. Rhayader
8. Rhayader Goes To Town
9. Migration
10.Preparation
11.Dunkirk
12.Ice
Disc 2
1. Who We Are
2. Your Love Is Stranger Than Mine
3. Never Let Go
4. Wait
5. Lunar Sea

メンバーは、アンディ・ラティマー(g,fl,vo)、アンディ・ワード(ds)、コリン・バース(b,vo)、ヤン・シェルハース(key)、キット・ワトキンス(key,fl)の5人。ピーター・バーデンスもリチャード・シンクレアもメル・コリンズも既にバンドを去っていたが、現在に至るまでラティーマーのパートナーとなったコリン・バースはこの時期から加入している。
前述のように中野サンプラザでコンサートを観た時点では彼等のレパートリーをあまり知らなかったのだが、コンサートがこのアルバムと同じく「Echoes」で始まったのは覚えている。「Rhayader」がラティーマーとワトキンスのダブルフルートで奏でられたのもよく覚えているぞ。キャメル最大の弱点であるボーカルに関しては、バンドの歴史の中でいちばん歌唱力のあったシンクレアはいなくなってしまったけれど、バースがある程度カバーしていて、コンサートではラティーマーとバースの二人で歌っていたな。オリジナルの「Echoes」のボーカルはラティーマーだと思うが、コンサートではなぜかバースが歌っていた。

このアルバムでも二人で歌っているが、「Unevensong」「Song Within A Song」ではラティーマーのハーモニーパートの音のほうが大きくて主旋律が殆ど聴こえない。ここはミキシングで調節してなんとかしてほしかったところ。ことほどさように全体的にボーカルに難があるためにアルバムの出来としては、かつての「A Live Record」には及ばない。でも演奏のレベルは高くて、特にキラキラ時代のキャメルを主導したキット・ワトキンス。オルガン主体だったバーデンスに比べて、彼はシンセサイザー主体。しかも手数の多いきらびやかなシンセで、そのキーボードワークとラティーマーのギターとの絡みがこのアルバムの聴きどころだろう。コリンズ時代のサックスパートの多くもワトキンスのシンセで代用されており、華麗なテクニックを味わえる。「Wait」での、ワトキンスとシェルファースによるテンポの速いキーボードの掛け合い間奏もほぼほぼ再現されていた。「I Can See Your House From Here」発表直後だっただけに、そのアルバムから6曲も演奏されており、今となっては貴重な記録。アンコール「Lunar Sea」での宇宙船の交信記録のようなSEも、アルバムコンセプトに沿った演出なのだろうな。
総じて万人向けのライブアルバムとは言えないが、僕の場合は42年前のコンサートに思いを馳せることができて、これはこれで満足。

(かみ)